母とともに立った日々の記録(序)
全11回に分け、週1回を目途に掲載していきます。
報告・2023年統一地方選挙
母とともに立った日々の記録
~福岡県嘉麻市議選で女性議席を確保~
佐伯 憲子
企画・編集 筑豊北九州地域研究会
発行 菊ヶ丘「語ろう会」 さえきのりこ後援会
はじめに
選挙の際、候補者はできるだけ男女均等にするという「政治分野における男女共同参画推進法」が制定されて2回目の統一地方選が2023 年4月に行われました。新聞各紙によると、全国の市議選では1,457 人、町村議選は632 人、区議選で301 人の女性が当選し、市議選と区議選では過去最多となりました。
しかし、改選議席に占める割合はまだ市議22.0%、町村議15.4%、区議でも36.8%にとどまっています。
福岡県ではどうでしょう。14 市議選(定数計292)に対して立候補した女性は57 人。うち49 人が当選しました。議席の占有率は16.8%。他都道府県と比べたら相変わらず厳しい状況が続いています。けれども、遠賀川上流域の嘉麻市の市議選(定数16 -候補20 人)では、わたしたちの仲間である佐伯憲子さんが、2期8年ぶりの女性議員として当選しました。
佐伯さんは元市職員です。長いこと生活に困った人や高齢者のケースワークに駆け回り、男女平等、性暴力防止、男性・女性にとらわれない社会づくりに取り組んできました。この日々の生活を重視する勤務姿勢が有権者に評価され、投票総数の11.3%を占める、群を抜いた得票につながったと、わたしたちは見ています。
ですが、議席は1なので占有率はわずか6%。質問・討論はともかく、複数議員の同意が欠かせない議案提出には何かと困難がつきまといそうです。どうすればこの数値を20%、40%、60%に上げられるのでしょうか。
わたしたちが指摘するまでもなく、現在、全国の大半の自治体は少子化と高齢化、そして人口減少に歯止めがかけられず、「限界市町村」に陥っているところがあります。嘉麻市もその一つです。この3つの深刻な問題を生じさせた背後にはこれまでの極端な「男性中心の国づくり・地域づくり」が指摘されています。
3つの難題の解決を探るにはだれもが夢と希望を持てる男女共同参画社会への転換、なかでも議論の場の中心となる議会構成の男女均等が急務です。
女性が議員、首長になろうとするとき、現在の地域にどんな≪壁≫が横たわっているのか、どうすれば乗り越えられるのか。
この点を深く検討するため、佐伯さんに「立つ決意をした日」から選挙活動そして投・開票日まで、資金の用意、後援会づくり、票読みなどをあまさず報告していただけないかと、研究会が要請したところ快諾を得ました。
母親の介護、議員活動、各種の地域活動、さらにアルバイトをなさりながら提出されたリポートは約20,000 字。この中で佐伯さんは、自らを「半分は世襲候補だった」「母や父の『七光』があった」と客観的に分析し、資金捻出や議員報酬等に関しても詳細に書かれています。厳しい状況にある嘉麻市については「つながり」をかぎ言葉に「人と人のつながり」「地域と地域の連携」の重要性を述べ、大切なのは「平和と人権 対等と協力」
だと力強く締めくくられています。
発行部数が少なくて、申し訳ございません。回し読みをしていただければ幸いです。
(2024 年4月 筑豊北九州地域研究会)
※表紙の3枚の写真は、支援者に励まされて出発する選挙カー(「サワラテ緑道公園」前で、2023 年4月16 日)、傍聴席から見た議場、着席した佐伯さん、です。