母とともに立った日々の記録(6)
全11回に分け、週1回を目途に掲載していきます。
第6話 慎重に準備してショートステイ そして投・開票日
ここまでお読みいただいて、きっと「お母さんはどうなさっていたの?」という疑問を抱かれたと思います。ですから、この項は、女性が直面しやすい「家庭の事情」から始めます。わたしは、認知症の症状が進んだ92 歳になる母の世話をしています。レベルで言えば「要介護4」です。
母は恋愛結婚でした。「女も自立しておくべき」という考え方を持っていて、わたしもその教えを守ってきたので、「地盤」の維持について詳しく知ってからはいよいよ「母とともにある選挙運動」という気持ちが強くなりました。
ですが、準備の最終段階から選挙運動期間中は、しばしばショートステイを利用してもらいました。告示日を挟んだ2週間程度はどうしても長期の宿泊が避けられず、よそで生活するのは大変な負担になります。そこで、ケアマネさん(介護支援専門員)と相談して、投・開票日の半年前から週末、ショートステイの施設で寝泊まりし慣れてもらいました。
最初は月に1度、2023 年の2月からは、毎週末の金~日曜日にショートステイを利用し、平日の月~木曜日はデイサービスへ通いました。夜に会議を開くときは、定期巡回型サービスの随時サービスをお願いしました。
「介護者の安心」は「被介護者の安心」につながり、介護の質が上がることを意味するそうです。わたしの場合、高齢者介護課に在籍経験があり、介護保険の知識も少しあったことが幸いしたのは間違いありません。周囲に、施設への入所を勧められましたが、「わたしの都合」で入所させることに抵抗があり、頑張れるところまでやってみようと決めていました。
近所や事務所に出入りする方たちの温かい配慮にも助けられて、母に目立った変化はなく、投・開票日を迎えました。
立候補者は、定数16 に対して20 人でした。内訳は現職14 人、新人が5人(女性2人)、元職1人。投票率は57.95%(前回は61.01%)で、約3%下がっていました。開票会場には、後援会の世話人が1人向かいました。ネット中継がない時代は、会場に書き込まれた数字を電話で事務所に知らせる方法でしたが、いまは嘉麻市でも市役所のHP(ホームページ)に開票速報がアップされ、それを携帯電話で確認できる時代です。さらに旧山田市域はケーブルテレビで開票速報が流れます。
わたしは自宅で後援会長、高校時代の同級生のみなさんとHPで開票状況を見守りました。1回目の速報は午後10 時でしたが、票は出ていませんでした。11 時の3回目の速報で、わたしだけ700 票、他の候補者は200 ~ 600 票。開票会場の仲間から「票の束が多い」と連絡が入り、4回目の11 時30 分(開票率97.6%)で1,966 票、当選確実となりました。
待機場所になっていた隣家から歓声が上がり、携帯電話で「早くおいでよ」と連絡が入りました。24 日午前0時5分結了。
最終得票数は、1,973 票でした。次の候補者は、1,262 票。現職議員は一様に前回と比較して票を減らしていました。最低ラインは583 票、次点は512 票でした。
わたしは「票をいただき過ぎたのでは?」という気持ちに襲われたので、「期待にどう応えていくかを考えなければ」とすぐ気持ちを切り替え、「ばんざい」の輪に加わりました。こうして長かったような、アッという間だったような選挙運動期間が終わりました。