母とともに立った日々の記録(7)

全11回に分け、週1回を目途に掲載していきます。

第7話 お金は2年度分を「合算」してご報告

信じられないような額の「裏金」問題で昨年から大問題になっている政治資金についていろいろ定めている「政治資金規正法」は、政治家のお金の出入りを国民の前に明らかにする目的の法律ですけれども、国会議員の多数が順守しなかった現実を見せつけられて、有権者はがっかりしています。
この法律自体の不備もあれこれ指摘され、抜本的な改正が欠かせません。それはともかく、わたしたちが「政治団体」を設立したら、総務省か都道府県選挙管理委員会へ届け出て、団体は1年間の収入、支出及び資産等を記載した「収支報告書」を提出しなければなりません。
会計責任者は毎年12 月31 日現在で、収支報告書を翌年3月末日までに届け出先へ出します。わたしの「さえきのりこ後援会」だと福岡県選管になり、原則として11 月30 日までに「公報」(要旨)で公表され、3年間閲覧に供されます。ですから、わたしの後援会の収支状況は2022 年分(2023 年3月3日提出=3月6日受け付け)がだれでも閲覧できます。わざわざ出向かなくても県のHPからも見られます。検索方法は<県選管→政治団体届出様式・公表データ→政治資金報告書の公表→一覧表から団体を探す(五十音順)>です。
選挙の年の23 年分は先日、会計責任者より送信(提出)を済ませたと連絡がありました。こちらも晩秋になったら閲覧可能になるでしょう。ただ、こんどの市議選では準備が年度をまたぎましたので、2年度分を合算した形で独自に計算してみました。
◇わたしは300 万円を用意◇
選挙の会計処理の「手引き」などに記載はないのですが、実際に選挙活動を行ってひしひしと感じたのは「財布は3つ」必要だと、いうことでした。
①個人経費の財布  ②候補者の財布  ③後援会の財布
このうち③はだれでも想像できますが、①と②の区別はとても曖昧です。どちらにしても「収入源」はほぼ、わたしの個人資金と寄付です。政治団体として届けている後援会は会費制ではありません(ただ寄付は後援会で受け入れています)。一例を挙げると、わたしの名前だけの看板は、嘉麻市の場合、後援会6本、候補者個人6本、計12 本が市選管より作製設置が認められています。それぞれが後援会の支払い、本人の支払いとなります。しかし、選挙期間中に設置が認められている「選挙事務所看板」は、候補者支払いなのです。公選法や政治資金規正法に基づいて定められている規定はぜひ、さまざまな新人向け講座で学んでおきたい点ですが、嘉麻市議選という選挙規模から計算して、わたしは300 万円を準備しました。退職金から充当しました。内訳は、10 月末で仕事をやめたので、選挙月までの半年間の生活費として120 万円、それに法務局に納付する供託金が30万円、これだけで150万円。
ですから、残る150 万円で選挙活動を乗り切ろうと考えた次第です。初めての選挙では、128,000 円の寄付を頂戴しました。供託物没収点以上の得票を得たので、供託金は後日、戻ってきました。また、算出の基礎資料には公選法で市選管へ提出が義務付けられている「選挙運動収支概略」を用い、四捨五入、千円単位で記載します。
支出の部
〇選挙期間中に要した経費
1)人件費287,000 円車上アナウンス担当者、運転者への支払い※
2)家屋費17,000 円電話工事料等
3)通信費12,000 円はがき代、電話料
4)交通費0円
5)印刷費197,000 円公選はがき ポスター印刷※
6)広告費333,000 円選挙事務所看板一式、選挙カー看板、マイク等
7)文具代1,000 円
8)食糧費171,000 円選挙期間中の昼食、夕食の弁当代
9)雑 費16,000 円雨ガッパ、手袋等
レンタル料140,000 円電話機、選挙カー※
計1,174,000 円  
※印は公費負担あり=嘉麻市が支払いを負担してくれます。
〇後援会の主な支払い
HP 設定、作成358,000 円
後援会リーフレット 5,000 部154,000 円
後援会連絡所の看板代 6本63,000 円
名刺代       3,000 部60,000 円
 計635,000 円
〇本人の主な支払い
本人看板代 6本63,000 円
経費の合計1,872,000 円
【嘉麻市の公費負担の種類】
① 選挙運動用自動車の使用1週間の使用料
② 選挙運動用ビラの作成(ビラ未使用 印刷費負担あり)
③ 選挙運動用ポスターの作成ポスター印刷代すべて負担あり
④ 選挙カー運転者の日当運転者のみ負担あり
⑤ 選挙カーの燃料代手続きを行い、直接、給油所から市へ請求
公費負担約354,000 円
経費より公費負担差し引き1,518,000 円
寄付を128,000 円頂戴しましたので、1,390,000 円が選挙一連の経費でした。
当初、150 万円かかると予測しておりましたので、若干、下回りました。終わってみて「もう少し切り詰めることは可能だ」と思っています。立候補を考えておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひ、この経費を参考に「どこに力を入れるか」を、ともに考え、「カネのかからない選挙」をつくりあげていきたいものです。
わたしは、この経費を公表するために、嘉麻市選管へ出向いて、初めて「選挙運動費用収支報告書」(選挙期間中の収支一覧)を閲覧してきました。公選法で収支報告書は、受理した日から3年間保存することとなっており、どなたでも閲覧可能です。もちろん、わたし自身の報告書は会計責任者から資料を受領しているので、他の立候補者の報告書にざっと目を通したのです。そこにはそれぞれの考え方や思いがにじんでいました。
こちらも一度、閲覧をお勧めします。
なお、公選法施行令に基づく選挙費用の公費負担の割合や項目は、どこの自治体から立候補しても同一です。ですが、申請書類や添付する書類などは自治体ごとに異なるようです。公選法による公費負担は、運転者の日当、燃料代などは出ても、車上アナウンス担当者の日当や、選挙カーの看板、マイク等の広告類に関する支払いは候補者負担です。また、選挙カーに関しては、取り扱っている事業所がある地域の最寄りの警察署での手続き等も一緒に済ませてくれますので、多少費用がかかっても、わたしは依頼しました。
一方、公費負担のある選挙のビラについては、検討しましたが、短時間でシールを貼るには多くの方の手を借りなければならないことが分かり、事前の手続きや準備が大変でしたが、公選はがき(郵送料が公費)2,000 枚を選択しました。また、ガソリン代については、給油所によっては、公費負担の書類の多さに難色を示すところがあると聞きました。単価契約など一定の書類のやり取りを行い、請求書を直接、市の選管に提出してもらうシステムです。わたしの取引先は、快く引き受けてくださいました。公費は「税金」そのものなので、書類の記入の仕方や種類も多く、行政の手続きに慣れている自分でもかなり煩雑でした。ですが、有権者が負担してくださっているのです。
立候補してみてつくづくありがたいと思いました。
公費負担制度は1992(平成4)年、公選法の一部改正で選挙公営の拡大が図られていました。嘉麻市では合併時に関係条例が制定されました。

付記
最後に整理のつもりで書いておきます。
・市の選管で取り扱っているのは、公選法による選挙運動期間中の報告書。
・都道府県の選管で取り扱っているのは、政治資金規正法による政治団体の1年間の収支報告書。
お恥ずかしい話ですが、このリポートをまとめるに当たって、わたしもようやく理解したところです。