母とともに立った日々の記録(9)

全11回に分け、週1回を目途に掲載していきます。

第9話 わたしのバイトは夜間当直

わたしは単身なので、いただく報酬で生活は出来ます。議員活動、後援会・政治活動は手当を充てて、何とかなるはずです。
でも、4年に1度、選挙があります。供託金も含めて資金を蓄えておかねばなりません。2回目に備えて「100 万円を準備しておこう」と考えています。
長年、市役所で相談業務に携わっていましたし、必要な資格も持っているので、週に2日くらいパートの相談業務がないかなぁ、と、あれこれ思いめぐらしていました。しかし、市役所に相談業務はあっても、議員との兼職は当然のことながら認められません。だからといって民間の法人や事業所に「パートの相談員がいる」とは聞いたことがありません。おまけに「議員のパート相談員」を雇うわけがありません。やはり、やれることは限られています。福祉の現場で何かないか、と打診を始めたころでした。
筑豊地区で唯一となる義務教育を終えた15 歳から20 歳の女性専用の「自立援助ホーム」が、2022(令和4)年10 月、嘉麻市に開設されました。そこの施設長さんは元市職員で、市役所時代には、わたしが女性の支援を、施設長さんはスクール・ソーシャルワーカーとして子どもの支援をなさっていました。
一緒に安心、安全のための仕事を担っていました。その後、施設長さんは自身の夢を実現するため退職して、地域に不足している女性専用のホームを立ち上げ、わたしの立候補も応援していただきました。
議員となってから、このホームに関心を寄せる元教師の方と施設見学に出かける機会が訪れました。するとホームが夜間当直者を探していることがわかりました。
この春に92 歳を迎えた母が自宅にいる夜の当直は無理でも、ショートステイ利用で不在の夜間は可能です。そこですぐ、土曜日の当直をお願いしました。さまざまな理由で家庭に居場所がなくなった女子の自立へ、少しでもお手伝いが出来たら、と思っています。このアルバイトについて問題がないことは、あらかじめ議会事務局に確認しました。
当直を開始したのは当選から3か月後の7月です。最初は月に2回、現在は土曜日ごとに泊まり勤務をしています。
ところが、同じころです。なんと、もう一人の新人男性議員さんもバイトを始めておられました。「42 歳子育て中」ですから、わたし以上に議員報酬や手当だけでは、厳しいはずです。いまでは2人で「こんな実態も、みなさんに知ってもらっていいのではないか」と話し合っています。なお、先輩議員さんも「子どもの教育費を捻出するためにバイトをした」と話しておられました。
現在、行政を担う公務員と議員の兼職はだめでも、「大企業の中には、休職扱いとなったり、働き方を変えてくれたりするところがある」と聞いています。仕事を辞めなくても構わない仕組みが創出されれば、いろんな分野の方の政治参画はそれなりに進むはずです。が、頑張ってきた仕事を辞め、議員に当選しても、給料が報酬に変わったとたんガクンと下がるようでは、やはり、大半の人が立つ決断はしません。若い女性や男性の参画を促すには、報酬について、国が何らかの手立てを考える時期に来ているのではないでしょうか。